キャップはフラットトップなのだが、尻軸先端部はディンプルなので、この段階でニコイチとわかる。天冠には筆記体で【Fan】という刻印がある。
これが何故生贄になったかといえば、会場でペン先ユニットを首軸から抜こうとして力持ち数人に捻ってもらったがビクともしなかったから。こりゃ、時間がかかりそうだな・・・ということでお預かりした。
ペン先はガチガチに詰まっており、掃除してもインクなど出てきそうにない。また先端部の形状が良くない。もう少し美しい形状にしたい。父もParker 75を愛用していたので、他のParkerよりは愛着はある。
さてどうやるか・・・
とりあえず、80度くらいのお湯を超音波洗浄機に入れ、首軸ユニットを入れて三分間振動を与え続けた。熱いお湯と超音波洗浄機の組み合わせは、冷たい水の場合よりも遙かに効果が高いのは過去の実験で確証を得ている。
実はペン芯の溝にも接着剤が入っていた。これではまともにインクも出なかったはず。(もっともそれ以前の状態で発掘されたらしいが・・・)
ペン先は研磨し、やや猫背に調整してペン芯とペン先の密着を図った。ペン芯にFとの刻印があるので、EF〜F位の字幅で小さな文字が書けるように調整したのだが・・・大変だった!
この当時のParker 75のペンポイントは比較的硬く、調整に20%ほど余分に時間がかかる。最近の柔らかい調整のペンポイントに慣れていると、この時代のペンポイントはかなり硬く感じる。
元々は円盤を二枚貼り合わせたようなペンポイントであったが、かなり研磨して鉈型のペンポイントにした。接紙面積が狭いのにもかかわらずインクフローが悪くないので、不思議とここちよい!
これぞParker 75!という書き味はMとBでしか味わえないが、今回のペン先はParker 75の細字調整のバリエーションとして記録に残したい書き味になった!
【 今回執筆時間:4時間 】 画像準備1.5 修理調整1.5h 記事執筆1h
画像準備とは画像をスキャ ナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間