先日、古い友人から萬年筆の修理をたのまれた。その方が、修理のお礼にと送ってくれたのがWatermanの100年ペン!1940年前後の萬年筆。
この萬年筆は、ネット時代到来前は、萬年筆界の三種の神器の一つだったと聞いた。オノト・マグナ、パーカー・デュオフォールドと、この100年ペンだとか。
マグナやデュオフォールドは、過去にそれぞれ10本以上所有したが、この100年ペンは今回が初めて。実物を見たのも、刈谷の巨匠のお宅で拝見して以来じゃ。なぜこれまで100年ペンを回避してきたかといえば、この尻軸部分。刈谷の巨匠のお宅で、この尻軸部分が爆発(粉々に砕けた)ものを見せていただいた。経年変化で粉々になるらしいと思い、ずっと避けてきたのじゃ。
ところが、この100年ペンは非常に綺麗で尻軸が弾けることは当分なさそう!
既にご存じの方も多かろうが、#3776は梅田晴夫氏が所有している各メーカーの萬年筆の優れた部分を集大成した物。そして軸のリブは、この100年ペンを真似たということらしい。キャップには、Waterman's REG.U.S. PAT.OFF. MADE IN U.S.A. HUNDRED YEAR PEN と4行にわたる刻印が入っている。
そしてキャップには空気穴が2個空いている。さぞかしペン先は乾くであろうな・・・と思ったら首軸先端部は、この穴よりも奥に入ってインナーキャップと密着する。すなわちペン先は外気にはあたらない?なんか現行のデュオフォールドよりも良く出来ているのでは? ペン先にはWaterman's EMBLEM PEN という刻印がある。金の含有率などは表示していないが、紛れもない14金ペン先。
1940年前後といえば、日本では貴金属は統制の時代であったはずだが、米国では平気で金ペンを作る余裕があったわけじゃ・・・こりゃ勝てないわな。それほど太くない胴体に似つかわしくないほど大きなペン先。この大きさも#3776は参考にしたのではないかな?
ペン芯にも黒漆のようなものが塗られていること気付いた。これは本当に漆かな?それともほかのもの?詳しい方がいたら教えて下され。
このスタブ調の大きなペンポイントは魅力的!拙者がインクを入れて書くことは無いであろうが調整はそのうち施してみよう。ペン先とペン芯との間には広い隙間が空いている。エボナイト製ペン芯がお辞儀をしてしまったのであろう。これはヒートガンであぶればすぐに直せる。
拙者の経験ではオノト・マグマよりはパーカー・デュオフォールド(初代)の方が萬年筆としての完成度は高い感じがしたが、この100年ペンも良い。レバーとクリップが一直線となる位置取りが可能な点が泣かせてくれる。なんだ米国だって神経の細やかな人がいるんじゃないか!とうれしくなってしまった。
あまり褒めると相場が上がりそうなので、今日はこれくらいにしといてやろう・・・(捨て台詞?)