このプラチナ・プラチナは発売と同時に購入したと記憶している。当時金古美にするか、黒っぽくない軸にするか相当悩んだ。拙者の好みとすればペン先の色にマッチしたピカピカ系の純銀軸なのだが、いままでにない仕上げということでこちらを選択した。
金古美に出来なかったのが通常の軸になるので、金古美の方が価値があるという噂を聞いたこともあるが、事実かどうかは確認していない。自分にとって都合の良い噂だけは覚えているのかもしれない。
久しぶりに引っ張り出してみたのだが、金古美仕上げは硫化が進まないのか、購入時と同じ状態で出てきた。基本的に金ペンのエボ焼け以外の、くすみや変色が大嫌いなので、この変化しない金古美仕上げは好ましいと感じた。ペン先は14金や18金ではなくプラチナ製。なぜか790という表示がある。18/24が750なので、19/24であろう。(正確には791?)
プラチナでペン先を作るとカチカチに堅いペン先になる。チタンやパラジウムで作る最近の 柔らか気持ち悪い ペン先とは一線を画している。堅くて加工に閉口したためらい傷のような痕がペン先側面に見かけられるのがほほえましい。意地で作ったようなペン先は・・・好きだ!当時のプラチナ社のペン先は全長が長いタイプ。最近のモデルチェンジで短くなった。【非常に贅沢で良いねぇ・・・】なんて褒めてたら、【本当は短くてもしっかり保持出来るペン先の方が良いんですよ】とメーカーの人からうかがった事がある。
マニアは他社とは違う部分に惹かれてしまう。たとえばペン先の太さを漢字で表すところなんて実に好きだった。もっとも海外展開するなら【太】なんて漢字を理解できる国は限られてしまうだろう。ペン芯は通常はプラスティック製だが、エボナイト製ペン芯に交換してある。古い#3776に付いていた物が互換性があるのでそちらを流用した。10万円の軸にプラスティック製ペン芯は寂しく感じられたのでな。
このペン芯の加工は見事。今までに見てきたエボナイト製ペン芯の中ではViscontiの初代ボイジャーに付いていた複雑型エボナイト製ペン芯と並ぶ見事さじゃ。(簡単型エボナイト製ペン芯もあった)それを装着した横顔がこちら。実に美しい!エボナイト製ペン芯の先端部が厚いので、それほどペン芯を前に出すわけにはいかない。
ペン先とペン芯とは、ピターっと吸い付くようにひっつくわけではない。そうなったら空気がペン芯の溝に入りにくい。実際ハート穴の部分でペン芯とかなり離れているものが多い。Pelikan M800などその典型。
ペン先とペン芯を結婚させるため、通常は蒸気をかけたり、お湯に入れたりするのだが、今回はヒートガンで少しあぶっただけ。ただインクを入れて試していないだけにマッチングが成功したかどうかは将来の楽しみとしたい。