2011年12月22日

筆記具関連四方山話 【 狸の油 】

昨日、忘年会から帰宅してみると、荷物が一つ届いていた。一昨年会員登録し、またたくまに存在感を示した【およよ】さんから。残念ながら今年は一度も定例会に参加出来なかったが、来年年明けには再登録してくださると書かれてあった。

そして同封されていたのが、フィルムのパトローネに入ったあやしいゲル状のオイル。これが秘伝の油らしい。

およよさんの父方の郷里は高知だそうだ。ある猟師の使っていた鉈や山刀の柄、そして猟銃の先台や銃床が【ビッカビカ】なのを思い出し、どのようにその艶を出していたのか調べたくなったとか。そもそもはブライヤー磨きの蘊蓄がここそこで語られていたのが原因であろう。

なんせおよよさんが子供のころの話だし、その猟師の方もお亡くなりになっており、調査は困難を極めた・・・。なかなか解明できなかったのだが、その方のご子息にうかがったところ、猟師は【狸の油】なるもので磨いていたらしい。その方の娘さんによると【シゴクがは(磨くのは)、聖教新聞、麻、ジャージがえい(良い)。木綿はいかん!】というのを聞いたことがあるとか。ちなみに新聞は【高知新聞、読売、朝日、聖教】の中での比較結果らしい。

およよさんは、【これでブライヤーが艶々になるかはわかりませんし、短期間ですばらしい成果が出るとは限りませんが、まぁ、話のタネに!】ということで送って下さった。

なんでも最近では、高知の日曜市などでも販売されているが、猟師さんの使っている【狸の油】とは質が違うらしい。結構な時間をかけてついに本物の【狸の油】を入手したものを分けて下さったらしい。

実際に狸の脂から抽出した油ではなさそう。想像するに、臭いが狸のように臭いからではないかと想像している。実際、かなり臭い。そしてブライヤーに塗ってもしばらくは臭さが残ってしまう。ところがこれを塗って、新聞紙でゴシゴシ擦ると・・・・

セーラーのプロフィット80の光沢があるものに近い輝き!ただし、この艶は【狸の油】が出した艶ではなく、新聞紙の影響かもしれない。

H134さんから7年前に軸磨きのコツとして教えて頂いたのが、ハンカチでひたすら擦って磨くという方法。これを毎日TVを見ながらやっていると数週間でエボナイトはピカピカに変身する。その後、めだかさんが博士の木軸を金磨き布で磨いて艶を出す技を編み出した。

それが完成形になったのが、最近Geoさんが編み出した、プラスティック磨き布とつやふきんによる複合技。オイル類を使わないで艶を出す技じゃ。毎日2時間、一週間磨き続ける。30分に一回ほどつやふきんで擦る。それだけでセーラーのプロフィット30周年記念の軸が、80周年記念のブライヤー軸(艶有り)と同じ輝きを出す!

事実、先日の萬年筆研究会【WAGNER】会場で、Geoさんが親方のプロフィット30周年を3時間ほど磨いたが、見違えるような輝きになった。

今回の【狸の油】による磨きも原理は同じ。この油はゲル状で有り、ヌルヌルの油ではない。何か研磨剤の働きをするものが混入されている。そして木綿ではなく麻の布を使えという・・・どうやら目の粗い布で磨くという示唆。そうれから考えると聖教新聞は紙目が粗いのかも?

狸の油】に研磨剤の働きがあり、それを削りに適した目の粗い布で擦る。まさにプラスティック磨き布とつやふきんのGeo方式と理論は同じ。違うのは油分を同時に塗り込めるというところだけ。要は艶出しのコツは木軸の表面をツルツルになるまで磨き上げることじゃ。

この【狸の油】方式は、いままででもっとも理にかなった磨き方だと思う。表面研磨しながらオイル分を塗り込める!事実、ものの5分ほどである程度の輝きが生まれてくる。しかし最後は根気!いかに長期間、毎日毎日続けられるかであろう。結局は何を使おうとも勝負は【磨きにかけた時間】というのが結論!



Posted by pelikan_1931 at 09:00│Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 萬年筆紹介