40日間におよぶ旅をして独逸から日本にやってきたPelikan M900 トレドに同行してきた、何の変哲も無い新品のM800に付いていたペン先がこちら。
今までに3BとEFではコストカット穴を発見していたが、当然のことながらFにもコストカット穴が空いていた。この穴がクリクリっとした眼に見えて、カワイイと思うなら、貴方はヘンタイに近づいている。拙者みたいに・・・・
穴が空くことによってペン先とペン芯との摩擦抵抗が少なくなって、ペン先の横滑りが増えるのではないかと心配していたが、穴の内径部分がペン芯にひっかかって、かえって滑りにくくなっているように思われる。けっして意図した設計ではないのだろうが。ところが、この個体には問題がある。往年のSheafferのように、切り割りがズレている。ハート穴の真ん中に切り割りがきていない。
ペン先の刻印の頂点を切り割りが通っておらず、(左画像では)やや下にズレている。
各社のペン先製造工程の画像を見た経験では、ペン先に刻印を打つ、曲げる、ペンポイントを溶着する、切り割りを入れる・・・というような順序になっていたと思う(うろ覚えだが)。間違ってたら教えてね。
ということは切り割りを入れる際にペン先を固定する位置がズレているか、ペンポイントを溶着するときに、熱でペン先のカーブが曲がってしまい、位置固定がズレたかだろう。切り割りだけではなく、ペンポイントの形状も歪んでいる。左画像の下の方がこぶのように腫れている。
この腫れが原因で切り割りを最初に入れる位置がズレたのではないか?真円のペンポイントだったら、即ち、腫れがなかったら、もっと切り割り位置は画像の上に入ったのではないか?
すなわちPelikanでは切り割りの位置を、ペンポイントの中央を目指して入れているということ?これはある意味、正しいといえる。コテコテのマニア以外はペン先をルーペで見たりしないので、切り割りが中央にあるかどうかなど気にしない。書き味が良ければそれで満足する。
実際、このペンポイントの書き味は未調整でも驚くほど良い。つまりはPelikanとしては出荷基準を満たしたペンポイントと判断したのであろう。
ところが拙者には辛い!ペンポイントの形状異常や、スリットから両端までの長さの差は研磨によって解消できる。ところがスリットがハート穴の中央に入ってないこと、刻印とズレているのはなんとも気持ち悪い。
ほんの少しのズレなら我慢できるのだが、ここまで大きいと・・・悲しい。売り主とペン先だけ交換してもらえないか交渉してみることにする。これがあるから海外通販は(調整しない人には)難しいのじゃ。ペン先選定を運にまかせないといけないから・・・