2012年02月10日

金曜日の調整報告 【 Pelika Epock ナットウッド 18C-F 細く・・・ 】

2012-02-10 01今回の依頼品はPelikan Epockのナットウッド。以前に拙者もしばらくBBやBニブ付きを使っていた。カートリッジ専用であることから日本ではあまり人気がないが、大型カートリッジが使えるのでインク容量は並みのコンバーターより多い。

胴体のナットウッドに関しては、こちらの記事参照!

木材に樹脂を染みこませたもので作り方は、減圧した空間に樹脂を塗った木材を入れ、一気に空気を入れる(加圧)と樹脂がシュッと木材の隙間に入り込むと聞いたことがあるのだが・・・相当酔っていたので聞き違いかもしれない。

2012-02-10 022012-02-10 03ペン先がかなりガチガチに成型されている。Fとはいえ丸研ぎなので線幅も細くはない。またスリットもかなり拡がっているので、ドバドバのインクフローの細字として研ぐならものの5分もあれば終わってしまう。

ところが依頼主は左利き・押し書き・細字好き・柔らかニブ好きなので一筋縄ではいかない。さらには、これを研いだ際には、まだタコスペ・コレドMは開発終了していなかった。というか、この調整からタコスペ・コレドMの完成形のヒントがつかめたもの。

2012-02-10 042012-02-10 05ペン先の金はそれほど肉厚ではないが、かなり強く曲げられているのと、素材も通常のM800用などとは違うらしく、恐ろしく硬い。ただ細字を押し書きするにはある程度硬いニブの方が、先端部が紙に引っ掛かる確率がさがり好都合。

おいおい【M】じゃないの?と思わせるほど巨大なペンポイント。これから細字でしかも多少は柔らかくするには斜面研磨しかない。斜面にプラチナやロジウムが鍍金してあるペン先は側面研磨しないのだが、今回はいたしかたない・・・

2012-02-10 06こちらがカートリッジを装着する部品。尻軸と一体化しているので、回転吸入式と間違えてクルクル捻っていて壊れた!と大騒ぎする人が・・・いるわけががない。

ペン先ユニットを胴軸にねじ込む方式なので、ペン先清掃は非常に楽。ただしソケットからペン芯とペン先を抜くことは出来なかった。いままでの3本も抜けなかったのだが、個体差なのかそういう設計なのかは不明。

2012-02-10 072012-02-10 08こちらがタコスペ・コレドMもどきを施した画像。ペン先の両側の斜面の削って多少ぽっちゃりしていたのをダイエットした。これは別に柔らかくしようとしたのではない。ペンポイントの横幅を狭めるためにはこれしか方法が無かったのじゃ。先端部は角研ぎのスタブ調の形状にしてある。これやスリットを狭めたあとの書き味向上のための苦肉の策。

よく見るとペンポイントの盛り上がっていた部分が削り取られているのがわかろう。出来るだけ筆記ポイントがブレないよう筆記に必要な部分以外のペンポイントを研磨で取り除いたのじゃ。

2012-02-10 092012-02-10 10こちらが完成形。押し書きに対応するためにペンポイントの腹は押す際の角度に合わせて研磨している。ペンポイントの背中は、タコスペ・コレドMならば丸く落とすのだが、タコスペ・コレドMもどきではここまで。コレドM調整はMから研ぎ出すのだが、EpockのFはMと同等の大きさだったので、コレドM調整が適用出来る。次回Epockを調整するときにはぜひタコスペ・コレドMでやってみたい。


【 今回執筆時間:4.5時間 】 画像準備1h 修理調整2.5h 記事執筆1h
画像準備
とは画像をスキャ ナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整
とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間



Posted by pelikan_1931 at 08:30│Comments(5) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 萬年筆調整 
この記事へのコメント
Mont peliさん

おお、そうでした。ナットウッド!記事直しておきます。
Posted by pelikan_1931 at 2012年02月11日 23:40
これ,大好きなシリーズなんですよね。
あの重量バランスはたまらない。木軸はまだ持ってませんが…。
Posted by めだか at 2012年02月11日 17:00
Metwoodがmetal/woodの合成語だとする根拠は、2004年版「輸入筆記具協会カタログ」(29ページ)にMetwoodの説明として「メタルとウッドの見事な融合」とあり、また、別のモデル名のMetrubには「メタルと天然ゴムの究極にこだわったフォルム」の説明があるので、Metrubがmetal/rubberの合成語と推理できるからです。
Posted by Mont Peli at 2012年02月11日 13:20
アレ?と思い調べてみました。
モデル名は、Pelikan Epoch P364 Nutwood (MetwoodではなくNutwood)では?
なお、カランダッシュのMetwoodは、金属(metal)と木材(wood)のコンビネーションをイメージした造語のようです。
Posted by Mont peli at 2012年02月11日 12:22
コメントが遅れました。調整ありがとうございました。ペリカン初めての木軸ということで買ったのですが書き味が合わずあまり使って来ませんでした。出来上がりが楽しみです。これからもよろしくお願いいたします。
Posted by aki at 2012年02月11日 10:55