水曜日の調整報告 【 Parker Duofold International 18K-F コテ研ぎ&天井抜け 】

まず、その穴を金属用のパテで埋め、樹脂製の天冠ごと丸く削って、油性マジックで黒く塗り、それにシェラックを塗って乾かした後で、マニキュアを塗って仕上げた。
耐久性には問題はあるが、天冠無しで使うよりはずいぶんマシであろう。萬年筆マニアでなければ道具である筆記具を応急修理して使うレベルで十分満足するものじゃ。最初は道具箱の中に転がっていたプラチナ#3776の古い赤軸の天冠樹脂を外して使おうとしたのだが接着剤が剥がれなくて断念した・・・


かなりゴツゴツとした書き味だったので、ペンポイント先端部を平らにし、当たりを柔らかくした。これはペンを立てて書く人には有効な処置。
さらにスリットは若干狭めた。これはエッジが紙に引っ掛かる確率を抑えるため。ペン先を捻って書く人向けの対策じゃ。
実際の書き癖がわからない場合は、このようにいろんなリスク回避調整を施さなければならない。その分、紙に吸い付くような感じは減っていく。やはり調整は面談しながら行う方式がベストじゃ。

こちらが調整後のペンポイント横顔。一番の違いは腹を削ったこと。これはペン先を捻りながらハライをする人向けのリスク回避策。筆圧がかかるハライの時にペンを捻ると腹がガリガリと紙にめり込みやすいのだが、コテ研ぎになっていれば、ますますその傾向が強まってしまう。それをペンポイントの腹を丸めることによって弱めるのじゃ。
今回は萬年筆を初期の状態に戻したような修理・調整だった。ただ、改めてParker Duofold Internationalのペン先が乾きやすい!という実態を知ってしまった。天冠部をパテで埋めた状態で、キャップを口にくわえて息を吹くと、スースーと空気がクリップの付け根から漏れていく音がする。
これでは書き出しのインクの色が濃くなってしまうし、インクの減りも早い。逆説的に言えば、
天冠が埋まっていようが無くなろうが大勢に影響がないとも言える。拙者にはこれを
萬年筆と胸を張って呼ぶ勇気はない。
【 今回執筆時間:3.5時間 】 画像準備1h 修理調整1.5h 記事執筆1h
画像準備とは画像をスキャ ナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間
Posted by pelikan_1931 at 07:45│
Comments(6)│
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萬年筆調整
私もデュオ常用者としては、師匠のお言葉は悲しい限りです。
最近のデュオは分かりませんが、復刻初期版からマイナーチェンジを含む3代目ぐらいまでのセンテニアル、インターナショナルの両方には、確実にインナーキャップはありません。インナーキャップがない上に穴があいていたりしていますから、乾くのが早いのは当然と言えば当然です。しかし、書き始めはインクが出ないのかといえばそうでもなく、使わなければ2,3日でインクがなくなるのかといえば平気で1,2週間経っても十分なインクがあります。ペンケースに入れてほぼ毎日持ち歩いて1週間使わなかった時も、ほとんどインクは減らずに、書き始めも問題ありませんでした。
原因は明確に分かりませんが、密閉されているペンケースに入れているからぐらいしか理由がありません。他の理由で最近密閉されていないケースに入れて持ち歩いていますが、インクの減り方に注目してみたいと思います。これで、もしインクの減りが早いようなら、ペンケースはインクの減りを抑止する効果も十分にあると。。。。。
大した事ではありませんが(容易に想像できる範囲ですから)、そういえばペンケースの効果でインクのことを書いている記事を目にしたことがなかったので。。。。(デュオ ファンの悪あがきです。すみません)
monolith6さん
インナーキャップがあれば、空気は遮断されるので、乾きは遅いはずなのですが。
翠髭さん
昨日、松江の万年筆店でも、同様の修理依頼が頻発したという話を聞きました。セルロイド板をポンチで打ち抜いたもので修理するのが安くて確実とか。
↓を訂正します。今、これを打ち込んでる瞬間に手元にデュオはありませんが、センテニアルであっても、インナー・キャップが無かった気が強くしてきました。
>拙者にはこれを萬年筆と胸を張って呼ぶ勇気はない。
センテニアルのファンだけに、また、仰せのニブ乾燥気味はセンテニアルでも事実であるだけに、胸が痛むお言葉です。
これらに何も対策せずに、可能な限りニブの乾燥を防ぐには、やはりニブ・ペン芯上で乾燥しにくいインクを選ぶということになる訳ですが、過去に色々と試した結果では、やはり純正の Quink が一番のパフォーマンスでした。しかし純正といえども、旧 Penman は、いずれも酷い結果になりました。
時にセンテニアルの場合は、インナー・キャップ・スリーヴが付いているのが普通ですが、インターナショナルの場合はこれが付いていないのが標準なのでしょうか。それとも、天冠と一緒にこれも欠品していたということですか?
私のインターの天冠も飛んでなくして購入したナガサワに持っていくと、当時の万年筆の係の吉宗さん(今はpen and message 店長)がニコニコと対応してくださっていつものように無料で直してくれたのを思い出しました。なるほどそれでも書き出しの一行目から三行目にかけて微妙にグラデーションがついているのはそういうわけですね、よくわかりました。それはそれで結構味がありますけれどね。