
今回のParker 75は拙者の所有物。Parker 75を何本も集中して修理・調整しているうちに欲しくなり、何本か購入した。基本的には金鍍金モデルが気に入っているのだが、どこかに不具合があれば純銀モデルを購入してパーツ取りしている。そしてあまった部品を集めて作ったのが今回紹介するParker 75じゃ。従って時代が混じり合ったモデルになっている可能性は高い。
それにしては綺麗なParker 75に見えるであろう。実は、これは一回徹底的に清掃してある。以前5時間ほどかけて首軸内部を清掃し、ペン先もペン芯から外して清掃した。さらに軸は一回磨き粉でピカピカに磨いた上に細かいサンドペーパーをかけ、それを銀燻し液で真っ黒にしたあと、再度表面を磨いてこの状態に持ってきた。


ペン先も清掃と一般的な調整は施してある。従って並みのXFとはレベルの違う書き味ではある。ただし自分で使うとなると普通の書き味ではものたりない。
Parker 75のニブはグリグリとした感触が特徴だが、実は拙者はこの感触が苦手。何とかしてこの書き味から脱却したい・・・ということで、
タコスペ・超不細工調整を施すことに下。


幸いなことにXFの細さを、円周上の一点で紙に接することによって演出する円盤研ぎなので
タコスペ・超不細工 には最適な形状をしている。Parker 75らしい一般的な調整とは似ても似つかぬ、拙者好みの調整に変えてみよう。

ベースとなるモデルは比較的初期の天冠と尻軸がフラットな【フラットトップ・モデル】。傷はほとんど無いが良い按配にくたびれてきている。
天冠は傷だらけでは困るが、まっさらの鏡面仕上げでも趣が無い。このぐらいのくたびれ方がちょうど良い。
まだ20台前半の頃、ブラック・ボディのカメラを買ってくると、すぐに耐水ペーパーで角を削って地肌を表出させ、使い込んだ感じにするのをやっていたのを思い出した。それほどまでに新品が嫌いだった拙者が、新品未使用(萬年筆)を後生大事に保存しているのも時代の流れか・・・

これがペン先ユニットを外した首軸を入口?からのぞき込んだ画像。ここまで綺麗にするにはかなりの時間がかかった。当初はブルーブラック・インクの滓が金属を溶かし、また乾いたインクが内部の隙間に堆積していて大変だった。
それを新型ボーグルーペ(ロキュータス)で確認しながら歯医者用の工具で削り落とした画像がコレ!今回、時間をかけて清掃すれば、ここまで綺麗になるとわかっただけでも収穫であった。

こちらはペン先調整後の画像。ペン芯の溝などはアスコルビン酸入りの熱湯?を超音波洗浄機に入れて長期間洗ったので汚れのかけらも無くなった!
なを超音波洗浄機にかける際には、分解できる物はとことん分解するのがおきてじゃ。ペン先もユニットから外して分解清掃を施してある。

今回はペンポイントの背中側を徹底的に丸め、裏書きがスムーズな反面、表書きでは縦線は中字くらいで、横線が超極細の字形になるように研磨した。
それは・・・

この新幹線の鼻のような形状の研ぎによって実現された。ものの15分ほどの研ぎではあるがなかなか良い感じに仕上がった。
あとはこれを微調整しながら徐々に仕上げていきたい。現状では裏書きヌラヌラ、表書き細Stubで良い感じだが、究極の書き味を求めるなら、あと1ヶ月ほど毎日調整していく必要がある。
【 今回執筆時間:3時間 】 画像準備1h 修理調整1h 記事執筆1h
画像準備とは画像をスキャ ナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間
Posted by pelikan_1931 at 07:45│
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