本日は久しぶりに調整講座だが、ペン先は一切研いでいない。その前に精根尽き果てたので研ぎはスキップじゃ。今回預かったのはParker 75。最近のマイブーム萬年筆で、この1ヶ月ほどでボールペンと合わせて10本以上増えた。ペンポイントは何でも良く、首軸が未使用の物を選んで入手している。
そういう中で今回生贄に登ったのは珍しいペン先が付いたParker 75。お預かりしたときには黒々と・・・汚れていたのだが無水エタノールに浸した布で擦ると綺麗になった。すなわち手垢で汚れていた事になる。
ところが首軸は実に綺麗。この個体では首軸先端部の金属が左に捻れば簡単に外れた。普通は外れるのだがインクで固められてビクともしないものが多い中、非常に首軸の状態は良い。マメに洗浄したか、ほとんど使っていないかであろう。おそらくは後者。ただし首軸自体にはダメージもあった。これは後述。
ペン先の番号は70。Parkerの番号表によれば、【 Medium stub. A wider flat nib for shaded writing. It produces a noticeable variation in line widths between the vertical and horizontal strokes. It was intended for people who write with a slight slant of the pen. 】との記載がある。これでMedium Stub なら、72番の
Extra broad stub なんぞ、どれくらいの字幅なんだろう?横顔を見るとその特殊さがよくわかる。立方体のペンポイントの上部25%を削り取ってそれを金で挟み込んだような形状をしている。
こりゃItalicでしょう!という方がいらっしゃるかもしれないが、ParkerのItalicはもっと薄く、下からペンポイントをえぐり取ったような形状だったと思う(ほとんど忘れたが)。左側がキャップトップ、右側が胴軸先端部。キャップはディンプルで、胴軸はフラット。明らかに時代が違うのでニコイチに間違いはない。
それだけが理由ではないだろうが、キャップがパチンとしまらない。プスっと鈍い音を立てて締まる。キャップと胴軸を左右別の手で持って相互に押すようにいれると良い音がしないんものだが、薬指と親指でキャップ先端と尻軸下端を挟んでパチンと締めたときに良い音がしないとParker 75を使う意味が無い。そにために左記のような改良を施した。
礼によって金属製の胴軸を力任せに首軸にねじ込んだせいで首軸に余分に一回りネジが彫られていた。それを目立たなく研磨した上で、コンバーターの先端部にスペーサーを作った。
以前紹介したのは消しゴムを切って貼り付けただけだったが、今回は工作用パテを使ってコンバーターを延長し、形も整えた。