今回の依頼品は、一世を風靡したスティピュラのイ・カストーニ。拙者も緑軸を使ったことがある。一時は5人に一人は持っているのでは?というほど流行った。西暦2000年前後かな?
依頼人も1999年の12月に米国のネットショップから新品未使用を入手されたとか。購入時からあった症状が筆記中に時々インクが出なくなること。
何度かペンクリに持込み、直っていたのだが最近再発してきたので・・・ということらしい。
スティピュラといえばインク途切れ!とエトルリアが初輸入された頃には言われたものじゃ。拙者も何度か伊太利亜送りにしたが、あまり良い結果は得られなかった。
ところが互換性のあるデルタのエボナイト製ペン芯を装着したところ、見事にインク切れが改善された。
またインクがドボドボでて困っていたデルタも、スティピュラのペン芯に変えたらちょうど良いインクフローになった・・・という笑い話をどこかで紹介した記憶がある。
ただ、イ・カストーニの時代にはそういう初期不良は解消されていたはずなので、何か他に原因があるはずじゃ。
ペンポイントを見たところ綺麗に丸められている。見事というしかない。ただ、スリットが詰まりすぎなので、少しでも書き出しの角度が変化するとインクが紙につかない。
またこのペン芯はインクが引き潮のように、すぐに戻ってしまうよう。いわゆる【こらえ性の無いペン芯】と拙者が呼ぶもの。
昔のペンクリではペン芯にナイフで溝を彫ったりしたものだが、苦情が出たのか、最近ではそういうペン芯に出会わない。
スイートスポットはかなり広くとられている。そのおかげで依頼人は書き味の滑らかさには満足しているらしい。ペン先とペン芯の密着にも問題は無い。
ということはやはりスリットが狭すぎるのかなぁ・・・と考えながら胴軸を外すと、思わぬ物を発見した!