今回の依頼品はPelikan 400NNじゃ。このモデルが日本のPelikanファン層を作り出し、かつまた、#500として復刻したことによって現在のPelikan社が成り立っているのだと思う。
1973年〜1978年に、当時のペリカンの関係会社だったメルツ&クレルが、日本市場向けに400NNの復刻版を製造した。その成功に目を付けたPelikanが自社で回転吸入式設備を再構築して#500(海外ではM400?)を市場投入した際には、ベースモデルは400NNではなく400となった。
キャップにはLindeのロゴが刻まれている。おそらくは独逸のガス会社であろう。そのLindeが発電所建設の竣工記念などで大量に配布したのではないかな?
こういう企業ロゴ入りばかりを集めている人には会ったことはないが、必ずいらっしゃるはず。見せて欲しいものじゃ。実は拙者も大好きだがコレクションはしていない。ペン先は見事なオブリーク。多少の段差はあるが、筆圧をかければペンポイントは自在に動くので段差はそれほど問題とはならない。
ペンポイントの切れ込みの両側のエッジの丸めがうまくいっていないのが引っ掛かる原因と結論づけた。またオブリークを普通の形状にするのではなく、普通に持って書けば、オブリークを意識することなく、【普通の字形】が得られるように研ぐことにした。上から見ても変化はほとんどわからないが、書いてみると・・・まったく違う書き味に変身する!というのが【タコスペ・一番捻り】。久しぶりに挑戦してみることにした。横顔には破綻は無い。このすさまじい猫背ぶりが良くも悪くもPelikan 400NNの書き味に大きな影響を与えている。
このペン先の猫背具合に合わせるようにペン芯を作っていたと考えられる。 こんな複雑な形状をエボナイトからどうやって削りだしたのであろうか?またペン先の曲がりの個体差との折り合いをどう付けたのかなぁ?
ペン先とペン芯が離れた個体 をに出会う見る度に先人の苦労に目頭が熱くなる・・・