本日の依頼品はLevenger。これはUSAの通販サイトだったかな?過去にSheafferや伊太利亜メーカーと組んで、Levenger オリジナルの萬年筆を出したり、メーカー在庫整理のために引き受けた高級万年筆を信じられない低価格で販売したりしていた。
たとえば、Wartermanのル・マン100 オペラを199ドルで販売したこともあった。もちろんそういう時には狂ったように注文したものじゃ。Omas のカワイイDemonstratorも99ドルで販売され、こちらは日本からも大勢が注文していた。スチールペン先だったが書き味は秀逸!まだ、萬年筆研究会【WAGNER】など影も形も無い頃。Nifty掲示板仲間とのオフ会に何本も出現して驚いた記憶がある。
この軸は記憶に無いが、なんとなくカトウセイサクショカンパニーとか、ロングプロダクツの製品に似た部品構成。違うのはペン先が18金であることと、キャップリングが純銀であること。ひょっとすると軸だけは日本で作ったのかもしれない。単なる想像だが・・・
依頼人によれば、通販で新品未使用を購入し、ペンクリでいじってもらった記憶はあるとのこと。たしかにスリットは開き、インクの出はかなり良い。
ところが、使う紙質の影響か、書き癖が変わった影響か、最近書き出し掠れや、運筆に制限を受けるようになったという。運筆に制限・・・という意味がわからなかったのだが、インクをつけて書いてみてわかった。少し捻るとすぐにインクが出なくなるので筆記角度を変えられないのじゃ。
そしてインクが出ない際に少し筆圧が上がってしまったのか、多少ペン先が上に反り、ペン先とペン芯との間に少しだけ隙間が出来ている。
それと少しペン芯が前に寄りすぎており、寝かせて書くとペン芯を擦ってしまいそうな感じがする。これも運筆の自由度を奪っている。
書いてみても、非常に垢抜けない書きごこち。少しでも左右に倒すとエッジが紙に引っ掛かってインクは出ないわ、耳障りの悪い音はするわで、とても使い物にならない。
ペン先の裏側を見てみた。インクフローを良くするために裏一面にロジウム鍍金しているのかと思ったがそうではなかった。ペンポイント先端部を下側から見た拡大画像の掲載は初めてではないかなぁ?
四角柱のコーナーを粗いペーパーの上で縦方向にだけ移動させて丸めたような感じに面が削られている。このままでは横方向はスムーズだが、斜め線は厳しいし、少しでも捻りを加えると、エッジが紙に当たって、スリットが紙から離れ、インクが切れてしまう。
これを直すには、角研ぎを丸研ぎに変える必要がある。左が調整後の姿じゃ。ペンポイントのシルエットが丸っこくなったのがわかるかな?
ペンポイント横の面取りだけではなく、ペンポイントの頂点部分の面取りも行った。こうすれば斜めに書き下ろすときにもスリットがちゃんと紙に当たるはずじゃ。