本日の依頼品はPelikan #700 トレドの First Model。もちろん 西独逸時代のものだ。これの第二世代物には尻軸にW.-GERMANYの刻印があるが、初代モデルは#500と同じ尻軸で、刻印もなければ金リングも無い。現行品では同じ尻軸はなく、前世代のM200の鍍金ペンが同じ尻軸を使っている。それにしてもいい按配に銀の部分もバーメイルの部分も硫化している。純金は硫化して変色はしないものだが、純金でなければたいていは銀が混ざっている。その銀の成分が硫化するものと思われる。
ただ、柔らかすぎてペン先が開いたまま戻らない・・・という事故が多発したせいか、#600ではしばらくすると14Cのペン先になり硬くなった。ただこの#700ドレドだけはその格もあってか、しばらくはヘロヘロニブ付きのまま販売されていたように思う。
【ペン!ペン!ペン!ファウンテンペン!】の49頁に当時のトレドの彫りがいくつか紹介されているが、この#700を彫った彫り師は、上段右と、中断左と同じだと思われる。ただそれらと比べると彫りに失敗している部分もいくつかあるので、最初の彫り・・・という噂もあながち否定は出来ない。
【ひどいわ!ひどいわ!あたしの手がインクで汚れたわ!お仕置きにこの萬年筆はもらっとくわね!】と以前のkiyomiさんならおっしゃったであろうが、綺麗な娘さんを連れていらっしゃったので、出かかった声を飲み込んだのであろう。
インクが噴き出した原因は長い間使わないでインクがカチカチに固まったあと、軸内洗浄が不十分なままインクを吸入して使い始めたから。これによってツブツブのインク粒がピストン弁を右側画像のように摩耗させ、インクをピストン弁から後ろに送り込む。その送り込まれたインクがピストン機構と胴軸の隙間に入って固まり、ピストン機構を胴軸に密着させると同時に、溢れたインクが尻軸から出てくるようになる。
こうなると、ピストン機構を壊して修理するしかない。幸いにして海外ではM200のOld Modelはまだ手に入るので、それを入手し、尻軸、ピストン軸、弁などを再利用して復活させるのじゃ。
それにしても今回のピストン機構と胴軸の密着度合いはすごかった。Pelikan 400NNを外す装置も役に立たず!しかたなく部品を壊しながらやっとのことで外せた。
修理は、独逸からM200 Old Modelの本体が届いてからとなる。