![1](https://livedoor.blogimg.jp/pelikan_1931/imgs/2/2/2255dafc-s.jpg)
本日の依頼品はPelikan #700 トレドの First Model。もちろん 西独逸時代のものだ。これの第二世代物には尻軸にW.-GERMANYの刻印があるが、初代モデルは#500と同じ尻軸で、刻印もなければ金リングも無い。現行品では同じ尻軸はなく、前世代のM200の鍍金ペンが同じ尻軸を使っている。
それにしてもいい按配に銀の部分もバーメイルの部分も硫化している。純金は硫化して変色はしないものだが、純金でなければたいていは銀が混ざっている。その銀の成分が硫化するものと思われる。
![2](https://livedoor.blogimg.jp/pelikan_1931/imgs/1/d/1dd3f761-s.jpg)
![3](https://livedoor.blogimg.jp/pelikan_1931/imgs/0/9/09954a9d-s.jpg)
ペン先は18C-Mで非常に柔らかい。初代#600と同じペン先だが、kugel_149さんをして【
これは淫らな書き味だなぁ】と言わしめたヘロヘロに柔らかい書き味!
ただ、柔らかすぎてペン先が開いたまま戻らない・・・という事故が多発したせいか、#600ではしばらくすると14Cのペン先になり硬くなった。ただこの#700ドレドだけはその格もあってか、しばらくはヘロヘロニブ付きのまま販売されていたように思う。
![4](https://livedoor.blogimg.jp/pelikan_1931/imgs/5/b/5b56271a-s.jpg)
![5](https://livedoor.blogimg.jp/pelikan_1931/imgs/c/7/c7c910f1-s.jpg)
試筆してみてあまりの書き味の良さに感動していたら、拙者が調整を施したものだった。まだスイートスポットの丸め方が雑だが、この方が少し筆記時の摩擦音が強く、拙者の好みではある。もちろん左から右へ素早く線を引くと、ピーピーと華麗なる筆記音を出してインクを飛び散らせる。もはや#700の頂点に君臨すべき書き味!
![6](https://livedoor.blogimg.jp/pelikan_1931/imgs/4/9/49669ec1-s.jpg)
胴軸後端の番号は、1/J 36となっている。#700トレドでは、/ の前の数字は、【J 36】という彫り師が彫った本数を表していると噂されていた。真偽のほどは定かではないが、数字が小さいほど彫りが下手なのでその噂にも信憑性が出てきたのじゃ。もっとも1213 / X XX なんていう4桁の数字には出会わない割には、製造本数が莫大なので、どうやらこの噂は眉唾だと考えている。
![7](https://livedoor.blogimg.jp/pelikan_1931/imgs/b/b/bb8e55e9-s.jpg)
次の記事で噂されたいた幻の ==>
【仲間由紀恵】トレド がこれ! 実に眼がカワイイ!
【
ペン!ペン!ペン!ファウンテンペン!】の49頁に当時のトレドの彫りがいくつか紹介されているが、この#700を彫った彫り師は、
上段右と、
中断左と同じだと思われる。ただそれらと比べると彫りに失敗している部分もいくつかあるので、最初の彫り・・・という噂もあながち否定は出来ない。
![8](https://livedoor.blogimg.jp/pelikan_1931/imgs/2/8/28a21557-s.jpg)
![9](https://livedoor.blogimg.jp/pelikan_1931/imgs/a/9/a936bc13-s.jpg)
ペントレでkiyomiさんに試筆してもらった時に、尻軸からインクが噴き出して、不具合が発覚したらしい。
【
ひどいわ!ひどいわ!あたしの手がインクで汚れたわ!お仕置きにこの萬年筆はもらっとくわね!】と以前のkiyomiさんならおっしゃったであろうが、綺麗な娘さんを連れていらっしゃったので、出かかった声を飲み込んだのであろう。
インクが噴き出した原因は長い間使わないでインクがカチカチに固まったあと、軸内洗浄が不十分なままインクを吸入して使い始めたから。これによってツブツブのインク粒がピストン弁を右側画像のように摩耗させ、インクをピストン弁から後ろに送り込む。その送り込まれたインクがピストン機構と胴軸の隙間に入って固まり、ピストン機構を胴軸に密着させると同時に、溢れたインクが尻軸から出てくるようになる。
こうなると、ピストン機構を壊して修理するしかない。幸いにして海外ではM200のOld Modelはまだ手に入るので、それを入手し、尻軸、ピストン軸、弁などを再利用して復活させるのじゃ。
それにしても今回のピストン機構と胴軸の密着度合いはすごかった。Pelikan 400NNを外す装置も役に立たず!しかたなく部品を壊しながらやっとのことで外せた。
修理は、独逸からM200 Old Modelの本体が届いてからとなる。
![10](https://livedoor.blogimg.jp/pelikan_1931/imgs/e/1/e1c904d6-s.jpg)
上は最近入手したビッグトレド M900を銀燻し液を使って黒化させたもの。銀の部分は#700トレドと遜色の無い色に出来たが、バーメイルの部分はピカピカ!ここだけは時の流れにまかすしかなさそう。
時間は物を劣化もさせるが味も出す。人間もそうありたいものじゃな。
劣化に気付かず、いつまでも突っ走ろうとする拙者には
味が出ないのはよくわかっているのだが・・・
【 今回執筆時間:2.5時間 】 画像準備1h 修理調整0.5h 記事執筆1h
画像準備とは画像をスキャ ナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間
Posted by pelikan_1931 at 09:00│
Comments(0)│
mixiチェック
│
萬年筆調整