
このあとにはNo.34Xやモンテローザがある。
非常に評価が高い1950年代のMontblancではあるが、No.14Xはテレスコープの故障、No.25Xはキャップクラック、No.24Xは天冠陥没、No.34Xはクリップの鍍金剥がれなどトラブルの宝庫でもある。その中でシンプルな機構のNo.26Xは比較的トラブルが少ないように思われる。

赤インクはインク窓を染めてしまう危険性が有り、出来れば回避した方が良いインクではあるが、Vintageの赤インクはさらに面倒なものであるようじゃ。

さらにガチガチに詰まっていたスリットをわずかに拡げてみた。しかし書き味は一向に向上せず!どうやらインクフロー不足で書き味が悪いだけでは無く、研ぎの問題じゃな。
Vintageは出来るだけ研がないのが最近の拙者の調整方法だが、ここまで書き味が悪くては調整せざるをえまい。

こういう清掃作業は、大人数が待ち行列を作っているメーカーペンクリなどでは不可能。せいぜい超音波洗浄機にかけるのが精一杯。
でも 超音波洗浄機ではこの赤インクの汚れは落とせない。自分で分解や再アセンブルくらいは出来るようになると、萬年筆ライフははるかにここち良いものとなる。
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左の状態では少し筆圧をかけるとペン先がぐらつく危険がある。
赤インクで固定されている状態なら問題はないが、赤インクのカスを取り除くと多少緩くなるので、少し押し込んで動かないようにしておいた。


実はペンポイント先端部が正面から見て斜めに研がれていたので、それを修正すべく先端部を少し削り落とした。
その後でペンポイントの形状を整え、スイートスポットを削り込んでから15000番のラッピングフィルムでエッジを丸めた。


また赤インクの痕跡が見事に除去されているのがわかるかな?
エボナイトを削る職人さんから【作業時間の半分以上は刃物を研いでいる時間】と聞いたことがある。
ペン先調整も本気でやれば、作業時間の大半は清掃作業なのじゃ。もちろん自分の手を綺麗に洗っている時間も含めてのことだが。
【 今回執筆時間:3時間 】 画像準備1h 修理調整1h 記事執筆1h
画像準備とは画像をスキャ ナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間