今回は書いていてすぐにインクが途切れてしまうボエムの修理依頼。拙者がボエムを入手した記録はあるのだが、使った記憶は無い。
従ってインクが途切れるとうことに対する解決策が思い浮かばなかったので、新潟から預かって持ち帰ったもの。
スターウォーカーはしばしば安売りの対象になるほど売れていない(Montblancが人気商品と抱き合わせで販売店に押し込むので安売り対象となりやすい?)。
スターウォーカーほどではないが、ボエムも萬年筆研究会【WAGNER】のペンクリではあまり目にしない。カートリッジ専用というところが愛好家には受けが悪いのだろう。
しかし、今回、恐ろしいことがわかった・・・ボエム愛好家には既知のことなのだが、洗浄が超めんどくさくて金食い虫なこと。
左画像はキャップを後ろに挿して右に捻った状態。ペン先のスリットの延長上にクリップが来るようになっている。
もっともペン先とペン芯を首軸内に位置固定する機構は無いので、好きな相対位置に出来る。
カートリッジを入れる際には、キャップを左に回して外し、尻軸を倒すと左画像の状態になる。ここでカートリッジを差込み、尻軸を戻せばセット完了となる。
今回のトラブルは首軸内のペン芯とペン先にドロドロのインクがこびり付き、空気が一切カートリッジ内に入らなかった事による窒息!
このボエムは最低でも三ヶ月に1回はMontBlanボエム用クリーニングカートリッジを使って洗浄する必要がある。
この洗浄用カートリッジが3本1000円とものすごく高価なので、一度詰まらすと手放してしまう人が多い。機構内を水で洗って機構トラブルが起きた場合はアウト!との噂もある。
しかし恐れることはない。エアーダスターがあれば、内部を水で洗浄した後で水分を吹き飛ばすことが出来る。ただしペン先とペン芯を首軸から抜き取れればだが。
未経験者が引っぱって抜こうとすると、高確率でペン芯のフィンを折ってしまうので要注意!
赤や紫のインクを使って詰まらせた状態の映像はあまりにショッキングで営業妨害になりそうなので掲載は控える。
左が綺麗に洗浄が終わったペン芯。ビーカーにペン芯だけを入れて1時間ほど放置しただけで、200cc入りのビーカーが絵の具を大量に溶かした液のように不透明となった。
クリーニングカートリッジを10本ぐらい使わないと綺麗にならない状態だったが、ペン先を外せれば水とエアーダスターだけで綺麗になる。
こちらが綺麗になり、少しだけスリットを拡げたペン先。根本を見ると144の刻印がある。
現在No.144というモデルがあるかどうかは知らないが、小さい割にしっかりした作りじゃ。No.145にもこのペン先がついている。
拙者は2008年ごろより、最近のMontblancはペン先の作りが良くなったと力説しているが、このペン先の作りも実にも見事!
ペン先の切り割りはピッタリと真ん中を突っ切っている。SheafferやParkerやWatermanといった旧米国系のメーカーのペン先がランダムポジション?と思われるような切り割り位置なのに対して、Montblancにはバラツキが少ない。
もしこういう品質管理にコストがかかって高いのだったら納得せざるをえないが、品質が高ければ後処理コストが下がり、全体としてはコストが下がるのが本来だがな・・・
今やMontblancのペン先の品質は国産に近いものがある。最終のスムージングをパイロットに委託している・・・と言われたら信じてしまいそうなほど出来が良い!ありえないがな。
こちらは横顔。この端正な研ぎにはほれぼれする。Montblancだって自社でペン先を研いでいるわけではないはずなのだが、海外他社とは一線を画した研ぎとなっている。
特別に高い研ぎをペン先製造メーカーに依頼しているのか、はたまた、検品基準が厳しいのか?機構には問題が多いが、ことペン先に関しては、現在海外でMontblancに追随出来るメーカーは無いだろうなぁ・・・
二度と詰まらせないためには、MontblancかPelikanのロイヤルブルーのカートリッジだけをつかうしかあるまいなぁ。しかも
MontBlanボエム用クリーニングカートリッジで定期適任洗浄する!
あるいは、エアーダスターを購入した上で、こまめに洗浄して水分を飛ばす。いずれにせよ赤や紫、茶色系統のカートリッジは御法度!
【 今回執筆時間:2.5時間 】 画像準備1h 修理調整0.5h 記事執筆1h
画像準備とは画像をスキャ ナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間