こちらは新潟で預かった最後の1本。時間切れで調整出来なかったものであって、決して調整に難儀するような状態ではなかった。
1980年代後半のNo.149で、ペン先は鉈型の円盤研ぎ。歴代のNo.149の中で、横顔は一番端正で綺麗だが、細字の書き味は極悪非道!
調整初心者の頃、どうにもうまく調整出来なくて、ペン先を机に叩きつけたことは一度や二度ではなかった。それほど(絶妙なる)細字調整が難しいのが鉈型円盤研ぎニブなのじゃ。
胴軸にはペン先の太さを示すラベルがあり、それにはEFとの印刷がかすかに残っている。まさに新品同様のNo.149じゃ。
ペン先はガチガチに詰まっており、インクはカスカスにしか出て来ない。調整希望は、インクがドクドクと出るようにして下さい!というもの。
それにしてもこの時代のMontblancもスリットが刻印のちょうど中央に入っている。美しい限りじゃ。国産でもズレはほぼ無い。ただしコレが世界標準では無いのが残念。
国産とMontblanc以外では、今でも6:4分けニブというのをよく見かける・・・。以前は7:3分けはおろか、9:1分けすらあった。
横顔を見ると、ペン芯がかなり前の方に出ている。ペン先のエラの先端部分が、左側画像では右から三つ目の溝の位置にある。
拙者が美しいとおもう位置は、エラの先端部が二番目の溝の前寄りぐらい。文章で表現するのは難しいので、あとで画像で確認して頂こう。
こちらは調整前のペンポイントの正面画像。見事というしかない!段差も無く、ペン芯の中央に見事に乗っている。
ペンポイントの上下幅も同じで左右の厚みもほぼ同じ。このような美しいペンポイントには滅多に出会わない。
プロの世界では、一個のペン先調整にかけられる時間はせいぜい数分であろう。
その数分間で、ここまで追い込み調整が出来るのは、さすがMontblanc・・・なのだが、インクの出は超悪い!
こちらはペン芯から分離した直後のペン先。コストカットが行われる直前のペン先だと思われる。
このペン先から18Kのペン先に変更された直後、伊東屋の万年筆売場のお兄さんに、【No.149がモデルチェンジしたんですが、どこが変わったかわかりますか?】と問われた。
正解はペン先が18金に変わったこと、鍍金の模様が変わったこと、ペン芯がエボナイトからプラスティックに変わったことだったのだが、拙者はペン先が18金に変わったことしか指摘出来なかった。まだ初心者だったから・・・