

発売されたのは1964年で当時の米国での定価は25ドル。1ドルが360円の時代なので日本なら9,000円。
ただ、1976年の日本のカタログでは15,000円となっている。変動相場制移行後なので円は302円前後。約50ドル相当じゃな。
プラチナ・プラチナが1万円ならParker 75が1.5万円というのは、当時の世相では理解が得られる範囲であろう。
現在では評価はまったく逆転しており、プラチナ・プラチナの相場の方がはるかに高い。
パーカー75といえば【父親の萬年筆】、あるいは【祖父の萬年筆】というイメージがあり、そのことから【それほど高価ではなく親しみやすいが書き味はゴリゴリとしてさほど良くない】というようなイメージも同時に植え付けられているような気がしている。
筆圧の強い子供が、父や祖父のパーカー75をこっそり握って力いっぱい紙に押しつけながら書けば、ペンポイントのエッジが紙に当たってゴリゴリと音をたてる。
その記憶を根拠にパーカー75は硬くて書き味が悪い!と思い込んでいる人は多いのではないかな?実は拙者もそうだった・・・
しかしインクフローが改善されたパーカー75を使うと、その虜になりしばらくは抜け出せなくなる可能性も高い。

18金ペン先なのでオリジナルではなく、プリミア用の95番ニブ(XXB)を装着して使っている。
胴軸は中古でかなりくたびれており、首軸は胴軸によって削られ、インクで痩せ、酷い状態だった。
新品の首軸だけを海外から輸入して、プリミアのペン先を装着し、キャップと軸は丹念に洗ってからシルバー・ポリッシュ液(俗称・銀のお風呂)に入れ、ブラシで擦って垢を落とした。
インクはがりぃさん作成のClassic Blue Black(Green Base)。筆圧をかけないでもヌラヌラとStub調の字が書けるので重宝しているが、早くも数人から狙われているような予感がする。
Parker 75に装着する太字はあまり出回っていないので、入手には大変な困難が伴うのじゃ。


今回紹介するXFは、丸研ぎのXFだが、その後、円盤研ぎのXFも登場するようになったらしい。この丸研ぎのXFこそが調整師の永遠の課題!
妥協すればこれほど簡単に調整の終わるペンポイントは少ないのだが、書き味を追求していくと限度を見失って自信喪失に陥る。
だからこそパーカー75はおもしろい。現在パーカー75が世界一安く買える国は日本といわれている。
米国では既に何年も前から相場が上がり始めているが、逆に日本では相場は下がっている。パーカー75を入手するのは今が旬かもしれない!