2012年07月12日

筆記具関連四方山話 【 じわじわと好感度上昇中 Parker 75 】

12最近萬年筆研究会【WAGNER】会員の中でParker 75の人気がじわじわと上昇している。
発売されたのは1964年で当時の米国での定価は25ドル。1ドルが360円の時代なので日本なら9,000円。
ただ、1976年の日本のカタログでは15,000円となっている。変動相場制移行後なので円は302円前後。約50ドル相当じゃな。
プラチナ・プラチナが1万円ならParker 75が1.5万円というのは、当時の世相では理解が得られる範囲であろう。
現在では評価はまったく逆転しており、プラチナ・プラチナの相場の方がはるかに高い。

パーカー75といえば【父親の萬年筆】、あるいは【祖父の萬年筆】というイメージがあり、そのことから【それほど高価ではなく親しみやすいが書き味はゴリゴリとしてさほど良くない】というようなイメージも同時に植え付けられているような気がしている。

筆圧の強い子供が、父や祖父のパーカー75をこっそり握って力いっぱい紙に押しつけながら書けば、ペンポイントのエッジが紙に当たってゴリゴリと音をたてる。
その記憶を根拠にパーカー75は硬くて書き味が悪い!と思い込んでいる人は多いのではないかな?実は拙者もそうだった・・・
しかしインクフローが改善されたパーカー75を使うと、その虜になりしばらくは抜け出せなくなる可能性も高い。

3左のペン先画像は、上のパーカー75の画像の上側のもの。すなわち拙者が日常的に愛用しているものじゃ。
18金ペン先なのでオリジナルではなく、プリミア用の95番ニブ(XXB)を装着して使っている。
胴軸は中古でかなりくたびれており、首軸は胴軸によって削られ、インクで痩せ、酷い状態だった。
新品の首軸だけを海外から輸入して、プリミアのペン先を装着し、キャップと軸は丹念に洗ってからシルバー・ポリッシュ液(俗称・銀のお風呂)に入れ、ブラシで擦って垢を落とした。
インクはがりぃさん作成のClassic Blue Black(Green Base)。筆圧をかけないでもヌラヌラとStub調の字が書けるので重宝しているが、早くも数人から狙われているような予感がする。
Parker 75に装着する太字はあまり出回っていないので、入手には大変な困難が伴うのじゃ。

45しかし、パーカー75の妙味はXFの味を楽しむこと。日本に入荷したパーカー75の大半はXFではなかったか?と言われるほどXFのペン先は多い。

今回紹介するXFは、丸研ぎのXFだが、その後、円盤研ぎのXFも登場するようになったらしい。この丸研ぎのXFこそが調整師の永遠の課題!
妥協すればこれほど簡単に調整の終わるペンポイントは少ないのだが、書き味を追求していくと限度を見失って自信喪失に陥る。
だからこそパーカー75はおもしろい。現在パーカー75が世界一安く買える国は日本といわれている。
米国では既に何年も前から相場が上がり始めているが、逆に日本では相場は下がっている。パーカー75を入手するのは今が旬かもしれない!

Posted by pelikan_1931 at 11:30│Comments(6) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 萬年筆紹介 
この記事へのコメント
Mike さん
XFのすばらしさは調整して初めてわかりました。
Parkerの言い古された書き味の表現を変えてくれるすばらしさです。
Posted by pelikan_1931 at 2012年07月15日 23:34
 先程ebayを見てみましたが、成る程日本のほうが安く手に入りますね。最近未使用のXFを入手したのですが、なんか使うのもったいない気がしてきました。かといって使ってナンボの気もしますし。特に75は。
 最近万年筆熱が急上昇して他にも欲しいのがあるので、使わないなら愛でてくれる人に譲る方が良いのかも知れません。既に利用中のXFが手元にありますし。うーん。悩ましい。
Posted by Mike at 2012年07月15日 01:51
monolith6さん
95が正しいです。そういえばかなりItalic調の厚さでした。
Posted by pelikan_1931 at 2012年07月14日 02:55
 18Kニブの場合、95番という数字が正しければ、それは Broad Italic です。逆に、XXBという表記が正しければ、それは86番になります。

 また、XFニブの研ぎ方は、発売当初から概ね1973年頃までが、いわゆる円盤研ぎ、それ以降はフランス製のニブも含め、今回取り上げられている丸研ぎになります。

 更に、日本は世界一75が安く買えるというのは残念ながら御指摘の通りで、米国やらの評価と比べるならば、不当に安いという憤りすら覚えています。
Posted by monolith6 at 2012年07月13日 17:40
正に私も父から譲ってもらいました。ペン先はガッシリした剛性感を持ちながらも紙に触れた瞬間や筆圧が高くなる時にフワッといなしてくれるのが心地良く多用しています。
Posted by すいどう at 2012年07月13日 07:11
20分間ほどスリスリしたら、喩えようもなくすばらしい細字の書き味になった。
Posted by pelikan_1931 at 2012年07月12日 21:42