
ペン先の美しさに定評のあるMontblanc No.149であっても、この大きさまで拡大するとプラチナ鍍金の微妙なズレが目立ってくる。
ところがこのSenator用のペン先は、プラチナ鍍金の両側を溝で囲んでいる関係でズレが一切発生しない。
細部にだけこだわる拙者のようなヲタクにはピッタリのペン先じゃ。
もっとも、だからこそWAGNER 2009をSenatorに発注したのだが。
ず〜と以前、eBayでSenator Presidentの18金ペン先のBを落札し、その柔らかさとタッチに感動した。これは何本でも欲しい!と捜してみたのだが、既に18C-Bは廃版となっており入手は不可能とわかった。
ただ、Senatorの以前のHPに、ある程度のロットが集まればカスタム生産も考える・・・と書かれていたので、Bromfieldさんの協力を得てSenator社と交渉したところ・・・
【18C-BでPresidentを作ることは可能だが、金型から作り直しなので最低ロット数300本】 という回答だった。しかも・・・
【金の価格が今後上昇する気配があるので今回提示した価格の有効期限は1ヶ月】 とかなんとかいう厳しいもの。
いくらWAGNERとはいえ、同じ萬年筆を300本も頒布する規模ではなかった。しかたなく50本は自分で購入し、50本は将来の会員用にストックし、200本を当時の会員に頒布した。
おかげさまで半年ほどで200本はお嫁に行き、その後は年に数本ずつお嫁に行っている。
改めてWAGNER 2009を眺めてみると・・・胴体は非常に安っぽい。痩せやすい安価な樹脂にプレスで簡単に曲げた金属キャップを木ねじで天冠の樹脂に止めているだけ。
けっこう乱暴な作り方をしている。まぁ、軸にはそれほど期待していなかったのだが・・・
それに引きかえ、ペン先はすばらしい!以前の18C-Bと比べても明らかに柔らかくなっている。その原因はしばらくしてわかった。
当方が発注してからSENATORが金を手配するまでの間に金価格が高騰。こちらが支払った金額では当初の利益を出せないと考えたのであろうが、ペン先の金の厚みを薄くしたのじゃ。
その結果としてペン先は格段に柔らかくなったのだが、ペン先とペン芯を引っぱるとスポっとすぐに抜けてしまうような状態で納品された。
独逸企業相手に議論しても勝ち目はないので、ペン先とペン芯をソケットに入れる位置を180度変えてセットした。
ただし、この場合、ソケット内部のペン芯回転止めの凸を削り取らないと、それが空気の流入を妨げてインクがすぐに途切れてしまう事が判明。
お嫁に行った200本強は1本をのぞいて全て拙者が加工してから出荷した。ものすごく手間がかかった限定品だった・・・
非常にすばらしいペン先と、安っぽいボディ。書き味は抜群だが、持つ喜びには欠けるWAGNER 2009だったが、最近少し状況が変わった。
その1:最近相次いで調整機材を導入した。いわゆるペン先研磨機器(通称:チャーチャー)。数十万円の高級機と、らすとるむさん開発のポケッチャー(ポケット・チャーチャー) 。
いずれもが愛用品だが、これを使えば太字から極細まであっという間に削り出せる。これによって太字愛好家にしか愛されなかったWAGNER 2009が細字愛好家の要望も満たせるようになった。
その2:秋田の文具店(とみや) がTWSBI マイカルタ(やTWSBI プランジャー式)の通販を始めたのだが、これらにはスチール製のペン先が付いている。
そのペン先を引き抜いて根本にマニキュアを塗ったWAGNER 2009のペン先を差し込むと、ピッタリとフィットし、得も言われぬ書き味のTWSBIが誕生する。
プランジャー式はシルバートリムなので、マイカルタ軸の方が似合うと思う。究極のニコイチだが、軸:TWSBI+ペン先:Senatorの組み合わせはええですよぅ。