2012年08月06日

月曜日の調整報告 【 Montblanc No.149 18C-3B 健康診断! 】

1今回の依頼品は大物。No.149の3Bニブ付きじゃ。調整依頼書には18C-BBと記載されていたが、紛れもない3Bニブ。
BBと3Bとではペン先の幅だけではなくペンポイントの形状も異なっている。
手元にあるBBBというラベルが残っているNo.149 18C-BBBと比べてみたら、まったく同じ形であった。ええなぁ〜!
しかもラッパ型ではない首軸先端部、なで肩クリップ、一段ペン芯・・・ということは、1970年代の組み合わせと判断して間違いなかろう。

23ペン先はエボ焼けで銅色というか飴色に変色していた。もしコレクションにするのなら、この色のまま残しておきたいところだが、ペン先のスリットやペン芯とペン先の位置変更の要望があったので、綺麗に拭うことにした。金磨き布で軽く1〜2回擦れば跡形もなくなってしまう。
3Bでこの詰まったスリットではインクは出ない。おそらくは手放した人も、インクフローの不満から手放したのであろう。少しスリットを拡げて書き出しで筆圧をかけないでもインクが紙につくように調整しておこう。

45依頼人はペンポイントとペン芯先端部がひっつきすぎなので、見栄え良く変えて欲しいとの要望を持っていた。
そこで相対位置関係を変えて首軸にねじ込んだのだが、ペン先が薄いのか以前の位置ではスカスカに近い状況になってしまう。
そこで押し込む位置を180度変えて首軸の反対側へ押し込んだ。今度は完璧!

67こちらが調整/清掃前だが、スリットだけ開いた状態のペン先。
ペン先の裏側には夥しい硫化痕が残っており、表面よりも赤銅化している。
ペン先裏側のエボ焼けはインクフロー障害の一つの原因なので、綺麗に擦って取り去ってしまう。
改めてペン先の表面処理を見ると、実に綺麗。特にプラチナ/ロジウム鍍金の乱れのなさには舌を巻く!写し絵の様に上からペタリと押しつけるような鍍金とはワケが違う!

89こちらが調整後のペン先。スリットが入り、縦線はさらに太くなった。涎が出そうに美しい逸品!
実際にインクをつけて試し書きしてみる。書く際に筆圧を上下させなてみると実におもしろい線を描いてくれる。Italic調はそれほど強くなく、まるで筆で書いているような筆記線になる。
ただし横線はそれほど細いわけではないので筆跡は実に力強い!残念ながら・・・拙者には使いこなすだけの筆記技術がない。(要するに字が下手ってこと・・)

10こちらが横顔。独逸の太字ペンポイントによくある細長いペンポイント。国産のC(コース)などとは全く違う作り方じゃ。
あくまでもItalic調文字を書くために作られたのだろうが、皮肉なことにItalic文字の対極にある日本語の行書体を書くのに最も適しているように思われる。
う〜ん、良いなぁ!拙者もMontblanc 3Bニブの封印を解くかな?


【 今回執筆時間:3時間 】 画像準備1h 修理調整1記事執筆1h
画像準備
とは画像をスキャ ナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整
とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間
 

Posted by pelikan_1931 at 19:00│Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 萬年筆調整