2012年08月29日

水曜日の調整報告 【 現行のMontblanc No.149 18K-M でも重要なのは・・ 】

1今回の金沢大会では、数多くの生贄をお預かりしたのだが、とりわけこいつには狂喜乱舞した。左下欄の【過去30日間の人気記事(アクセス数の多い順)】で、最も人気の高い投稿である
筆記具関連四方山話 【 Montblanc No.149 18K-EF 伊東屋スペシャル? 】に必要な検証用萬年筆なのじゃ。
提供して下さった Katchanさん、ありがとうございます。毎日、このBlogの記事を隅々まで何度も読んで頂いていないとわからないはずの拙者のニーズを察知されていたとは!
Katchanさんのメールアドレスがhotmailのため、拙者の入っているプロバイダーからはメールが送れませんので、こちらもhotmailからメッセージを送らせていただきました。届いているでしょうか?
いずれにせよ、会員登録はさせていただきました。

ブツは、現行品のMontblanc No.149  18K-M。なんてったって、ペン芯の形状がデュマと同じか?ヘミングウェイの頃よりペン芯の径が太いのかを知りたかった。

2ぺん先は金銀金の塗り分けで、コストカット穴あり、切れ込みありで、一見するとヘミングウェイ用と同じに見えるが・・・
ヘミングウェイ用ペン先はエラ張りで、こいつはエラ普通なのかもしれない。画像だけでは判断がつかない。

3こいつについていたのは、このペン芯!おお、デュマと同じく、根本が細くなっている。
また径もヘミングウェイ用よりも若干太い。このペン芯を1980年代のNo.149の首軸に差し込もうとしても無理!ワクワクしてきたぞ!

4こちらは上から1980年代のエボナイト製ペン芯、その時代の萬年筆を修理に出すと取り替えられてくるペン芯、そして一番下が今回のペン芯じゃ。
いままで気付かなかったが長さが違う。どうやらソケットの最深部が少し狭くなっていてそこまでペン芯を押し込む形状になっている。
これはおそらく、Montblanc最大の弱点と言われたインク漏れ対策であろう。フルハルターのHPによると、ペン芯が新型になってから飛行機に乗ってもインク漏れを経験したことが無いとか。

6ではと、ソケットを比べて見ると、現行のソケットの方がかなり長い。またソケットの内径は旧型が7.3ミリであるのに対して、新型は7.5ミリと0.2ミリほど太くなっている。
ペン芯の外側をノギスで計測するのは非常に難しいのだが、ソケットの内径であれば簡単に計測できる。ちなみに旧型はエボナイト製で新型はプラスティック製。

5新旧のペン芯の裏表は左画像のようになっている。ヘミングウェイ互換ペン芯とデュマペン芯とでは、途中までの設計も微妙に違うが、理由は分からない。
ただ、この新型ペン芯(デュマ型)が付いたNo.149は非常にインクフローが良い。
旧型ペン芯ならもう少しスリットを拡げたいなぁ・・・という場合でもインクは問題なくドクドクと出てくる。これで本当にインク漏れが無いなら最高じゃな。
いままでデュマ型ペン芯を半端物扱いしていたが、性能的には数段進化していると思われるが、美的には日光の手前(今市)!
性能が良くなるにつれて個性もなっていく気がする。やはり長澤まさみよりは野川由美子の方が魅力的かな?

調整前のペン先の問題は、筆記感の問題だけ。段差があるわけでもなく、引っ掛かりが大きいわけでもない。ただ、大きな球の一点で書かせるような丸研ぎなので、書いていてガサツな筆記感なのじゃ。

そこで・・・・
78スリットの寄りを少し弱め、スイートスポットを削り込んだ上で、丁寧に丸めた。この丸め作業だけでも60分以上はかけた。
これ本当にエラの張っていないペン先なのかなぁ・・・かなり張っていると思うのだが、ヘミングウェイと比較しないと何とも言えない。
それにしても美しく研ぎ上がったペンポイント!これほど左右対称に研ぎ上げられたのは久しぶりのような気がする。見栄えの良い物は書き味も悪くないはず!

910筆記角度に合わせて分からないように入れたスイートスポットは見事に決まった!
依頼人は多少ペン先調整も楽しんでおられるようなので、インクがドバドバ出る状態がお好みなら少しスリットを拡げればよい。
ただしこのペン先は柔らかくはないが柔いので、少し力をかけるとクネっとすぐに変形してしまう。粘りはほとんどない金なので注意が必要。
調整は楽だが、微調整は難しい・・・という難儀なペン先なのじゃ。


【 今回執筆時間:5時間 】 画像準備2h 修理調整1.5記事執筆1.5h
画像準備
とは画像をスキャ ナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整
とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間

Posted by pelikan_1931 at 10:00│Comments(6) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 萬年筆調整 
この記事へのコメント
すみません、蛇足かもしれませんが。

ニブがOBBの物は
ピストン先端も、デュマと同じ後ろ広がりのタイプでした。
ピストン稼動範囲がやおら短いと感じてました。
なので、1996年以降で現行になる前までの物?

師匠からのものは、今までと同じ先が広がっている形状でしたので、1992年当たりから1996年前・・・デュマ発売前まで製造された物?

そういえば、本当に今の現行品を自分もしらないですww

とりあえず、明後日の定例会でまたよろしくお願いします(笑)
Posted by Amulor at 2012年08月31日 11:40
149の18KのOBBも確認してみましたら、なんと!
それも同じ長いペン芯でしたっ!

18Kの金白金でヘミングウェイと同じペン芯の149も見たことがありますが、私の持つ18K金白金の2本は1996年以降で現行のペン芯になる前まで・・・
つまりはミレニアム前の、20世紀の品物ってことですね、
貴重品だ!www
んーー、ってことはいづれ21世紀の18Kも必要ってことか・・・
物欲が・・・(泣)

とりあえずのご報告まで
Posted by Amulor at 2012年08月31日 11:27
Amulorさん

ペン芯の径は0.2ミリほど太いものの、ペン先自体は互換性はあるようですな。
Posted by pelikan_1931 at 2012年08月30日 10:59
あ、あのう〜

確か7月の御徒町での定例会で師匠から購入させて頂いた149ー18kの現行版(クリップ送付交換して頂いた物)

昨夜、分解して見ましたら、
デュマペン芯?・・・写真の長いやつ
でした(^_^;)

今日明日にでも、現行のOBBも確認して見ます。
Posted by Amulor at 2012年08月30日 08:51
katchan さん

ほかにもいろいろ生贄をありがとうございます。そちらも全てここで紹介させていただきます。
Posted by pelikan_1931 at 2012年08月29日 23:07
返答遅れて申し訳ありませんでした。

ブログ読ませていただきました。
生贄の役割を充分果たしたようで嬉しく思います。

当日の朝急に思い立って会場に参りました。
師匠に何よりの土産を差し上げられたようですね。
Posted by katchan at 2012年08月29日 22:13