こちらはPelikan M1005 Demonstrator 18C-B。金沢でまとめてお預かりした生贄の中の一本。
なんとなく使う気になれない書き味・・・ということだったので、少しいじってみることにした。
Pelikan M1000は拙者の手には合わず、数本のM1000系の限定品以外は持っていない。従って使った時間を合計しても10時間には満たないはず。
ただし、M1005のPF刻印が消えてからのニブは多少は拙者の趣味に近くなってきている。
正式にはM1005 Demonstrator用のニブにはPF刻印は無いはずだが、M1000系の限定品用のPF刻印付き銀一色ニブを移植して使っている人もいるらしい。
ペン先の拡大画像を見ると、ペン先が少し首軸に入りすぎている。本来はこの位置が正しいのかもしれないが、太さを示す刻印全体が見える方が美しい。
またペン先先端部の右側(画像では下側)が瘤のように変形している。
プラチナ/ロジウム鍍金が施されていなければ左右対称に削ってしまうのだが、鍍金が施されているのを削ると下地の金が見えてしまい不細工。
実は、自己調整?を施した時のためらい傷のようなものがペンポイント周辺に見える。
最近発売されたPelikan M910 トレドはペン先が銀一色に鍍金されているというのが売りだが、調整を前提とするなら愚の骨頂!最近のPelikanは調整しなければならない確率が高いからなぁ。
この個体ではスリットもずいぶん詰まっているが、先端部だけは少し隙間が広い。これだけ柔らかいペン先の場合、筆記には影響はないが少し不細工。
こちらは横顔。おやおやずいぶんとペンポイントが研がれている。自己調整かな?かなり綺麗な形状に研がれていて感心!
ただしインクフローが悪いので綺麗な形状に研いでも書き味が向上していない。また少し左右の段差があるようじゃ。
丸研ぎの形状をそのままにしてスイートスポットを削り込んだようなので、筆記時に多少字幅が暴れる。それを修正するために先端部を角研ぎにし、スリットを開いてインクフローをあげ、スイートスポットを弱める。
すなわち、もう少し筆記角度の自由度を高める調整を施してみよう。ただ、最近のPelikanの丸研ぎニブは、背開き傾向が強いので、どこまでそれを矯正出来るか・・・多少の不安を残しながらの調整じゃ。
こちらがペン芯から外したM1005のペン先。No.149ほどではないが、首軸内に隠れた部分の長さが長い。そしてM800用ニブとは異なり、まだコストカット穴があいていない!
ペン先のハート穴よりペンポイント側がやや赤みがかっているのは、お辞儀のせい。スキャナーにかけると肉眼では気付かない微妙な曲がりが色の変化でわかる。
M1005の重量に耐えるには、少しペン先をお辞儀させていないと筆記時にスリットが開きすぎてインクが途切れるかもしれない。
筆記中にインクが引く現象が発生するとストレスは最高潮に達する!拙者が最初に購入したWaterman ル・マン100がそうだった。
O脚気味のスリットのせいだったが、2年我慢してとうとう机にペン先先端部から叩きつけてしまった。そこから自己調整の苦難の一人旅が始まったのじゃ。
こちらはPF刻印があるころのM1000系のペン先。スリットが真ん中に来ていないのはご愛敬だが、ペン先の斜面の美しさやペンポイントの研磨の美しさは見ていて飽きない。
もしM1005のニブにプラチナ/ロジウム鍍金が施されていなければ、このような形状に研ぐ事も可能だったのになぁ・・・
ペン先を銀一色に鍍金すると確かに綺麗。でも筆記することを前提に購入し、それに調整を施す可能性があるなら、調整出来る範囲が通常ニブに比べて狭いことは覚悟しておくべき。
拙者ならプラチナ/ロジウム鍍金が施されたペン先のモデルはコレクション用とし、絶対に使わない。使うなら外周が金色のペン先のモデルを選択し調整してから使用する。