柔らかいペン先ほど強筆圧で生きる。筆圧の低すぎる人には柔らかいペン先は使いこなせない・・・などはここ5年以内くらいの理論じゃ。
つい最近奇妙な体験をした。Pelikan 140 と 400NN 系の万年筆のニブを取り替えた。
140と400NNではペン芯の径はほぼ同じだが、ペン先の大きさはかなり違う。従って違和感がある書き味になるのではと考えていた。
400NNにつけた140のニブは本来の書き味が大柄のボディによってさらに引き出されるという珍しい結果になった。
通常はグレードの低い万年筆のペン先をグレードの高い万年筆につけるべきではないが、今回はニブのグレードが特殊だったのでやってみた。結果大成功。
140ではそのニブの性能を十分に引き出せなかっただろう。ちなみに400NN系の軸とは520NNだ。
驚いたのは140に取り付けた400NN系のニブ。なんと140のニブだけが出すと思われていた魅力的な線を苦も無く表現してくれる。
実は独特の筆跡は140の短くて軽いボディがひき出していたのだと理解した。目からウロコ。
筆跡はペン先が表現すると思っていたら、ボディがひき出す部分も相当あるんだ! これは世紀の発見!(とはいってもあと95年あるからなぁ、、、)
Pelikan 140狂いの友人がいる。彼は100本以上の140を保持している。にもかかわらず目の前に140が出てくるとまた買ってしまうという生活をしていた。
彼はほかの万年筆も買っていたが、それは【改めて140のすばらしさを納得するために買う】と公言していた。
ちなみにほかの、、とはVintageのMontblanc 252や142など。小さい万年筆の精巧さに惹かれていたらしい。
140が好きな人はたいてい筆圧が高い。高筆圧の人ほど楽しめるのが140と言ってもよかろう。
友人は、短い文章をはがきの裏などに殴り書きして送る!というような粋な事が好きな詩人だった。
拙者の筆圧は低いが、たまに思いっきり高い筆圧で文字を書いてみたい衝動に駆られる。
そういうときにはWatermanのカレンかPlikan 140を使う。前者は全体重を乗せても壊れない丈夫さ、後者は筆圧に俊敏に追随する筆跡の面白さに惹かれてだ。

